再建築不可物件の行く末

近年の建築基準法改正により、これまで不要だった工事にも建築確認申請が必要となるケースが増えています。
これまでは、建て替えができない代わりにリフォームで延命するという方法が一般的でしたが、今後はそのリフォームにも規制が及ぶ可能性があります。


建築基準法改正のポイント

2025年施行予定の改正では、構造上主要な部分を変更するリフォームや、用途変更を伴う改修工事が原則として建築確認申請の対象となります。
これまでは間取り変更や耐震補強などは届出のみで済む場合もありましたが、今後は構造耐力や防火性能、避難経路といった安全性に関わる改修は原則として申請が必要です。

特に、建築基準法上の接道義務を満たしていない再建築不可物件では、建て替えはもちろん、一部の大規模リフォームにも許可が下りない可能性が出てきます。


再建築不可物件にとっての現実

再建築不可物件は「建物を壊せば新築できない」という制約のもとで、いかに現況を維持しながら活用するかがポイントでした。
しかし、リフォームにまで建築確認が必要になると、手を加えることが難しくなる現実が見えてきます。

たとえば、屋根形状の変更、壁を抜く間取り拡張、老朽部の柱補強などは構造主要部の変更と見なされる場合があり、建築確認が求められます。
結果として「建て替えられない」だけでなく、「自由にリフォームもできない」物件となるリスクがあります。


行政が求めるのは安全性の確保

今回の改正の背景には、全国で増加する老朽住宅や空き家の安全確保があります。
特に木造住宅では地震や火災時の避難経路が確保されないケースが問題視されており、再建築不可エリアのような狭小接道地も例外ではありません。

今後は、安全基準を満たさない建物のリフォームに対して、行政が許可を出さない方向に進む可能性があります。
一方で、自治体によっては空き家再生支援や耐震改修補助金など、リノベーション支援策を拡充する動きも見られます。


今後の選択肢

再建築不可物件を所有している場合は、次の3つの方向性を検討することが現実的です。

  1. 現況のまま維持し、賃貸や倉庫などで収益化する

  2. 隣地交渉や43条但し書き許可により再建築可能化を目指す

  3. 再建築不可専門の不動産会社に売却を相談する

いずれも一長一短がありますが、法改正を踏まえると「建て替えられない土地をどう活かすか」よりも、「どう守るか、どう出口を作るか」という視点が重要になります。


まとめ

今回の建築基準法改正により、再建築不可物件はさらに法的リスクと工事制限が強まる資産となります。
しかし、法令を正しく理解し、隣地調整や許可申請を行うことで、資産価値を維持できる可能性もあります。

再建築不可物件をお持ちの方は、リフォームや活用を検討する前に専門家に相談することをおすすめします。
さつき不動産では、法改正への対応方針や再建築可能化の可能性まで含めた具体的な選択肢をご案内しています。
お気軽にご相談ください。